病院に到着すると、
まず、生まれて初めてマンモグラフィーを受けた。
ご存じのない人のために書くと、
マンモグラフィーとは乳腺・乳房専用のレントゲン撮影のことである。
かなり痛いと話には聞いていたが、
その痛さは半端じゃなかった。
まさに飛び上がるような痛さであった。
まず、胸を上から板のようなもので挟んで1枚。
さらに今度は横から挟んで1枚。
こうして左右計4枚のレントゲンを撮るのである。
挟むと云うと生易しく聞こえるが、
実際は、立体的な胸をペチャンコになるまでグイグイと押しつぶすのである。
レントゲン写真が出来上がると
その写真を持たされ、2階の診察室の前で待った。
かなり待たされた後、若い研修医による問診があった。
その後、またしばらく待って
ようやく診察室の内部に招きいれられた。
「今日はどうしました?」と、M医師。
「左胸にしこりのようなものがあるんです。」
医者は封筒の中からレントゲン写真を取り出して一瞥する。
「かなり大きなしこりですね。いつからありますか?」
急に彼の声が深刻なトーンへと変わった。
私は医師の真剣な声に少しびびりながら答える。
「3~4週間前です。」
M医師は口に出しては言わないものの、
これが癌だったら、もう手遅れの大きさなのに違いない。
彼の真剣な声はそのことを暗示しているようだった。
(続く)
"Whatever" by Oasis