2008年1月18日金曜日
Heaven or Hell? (その2)
重要なことって一体全体、何なのだろう?
私は、その占い師が言おうとしている内容と、知らない人に電話することの両方にどきどきしながら電話をかけた。
電話に出たその占い師は、東北に在住の40~50代と思われる男性だった。
「もうすぐ結婚予定日ですが、いかがですか?」
「結婚の予定はありません。おつきあいしている男性もいません。」
「もっと早く私に連絡していたら、予定日に結婚できたんですよ。」
「え?」
彼によると、私の背後に男性運を悪くしている何かがいて(霊?)、それを取り去らないことには私の男性運は良くならないそうだ。
彼には特別な霊的能力があり、東北と近畿と離れていても
遠隔操作で私の霊障(?)を取り除くことができるそうだ。
「あなたのために、特別にお祓いをやってあげましょう。
でも、それはとても体力を消耗する大変な作業なんです。」
「ちなみに、おいくらでやってくれるんですか?」
「特別に11万円でやってあげましょう。」
「じゅ、じゅういちまんえん?」
「高いと思われるかもしれませんが、お祓いを明日にでも
行いますから、そのあとは一生あなたの男性運は良くなるんです。」
「11万円なんて、高すぎます。そんなお金はありません。」
「そうでしょう。私にはそれが見えます。」
実際、11万円くらいの貯えはあったのだが、とりあえず無いと言ってみたのだ。
「じゃあ、毎月1万円ずつ分割で払ってくれてもいいですよ。」
私の心は揺れ動いていた。
明日から、一生、男性運が良くなるのであれば、11万円なんて安いものではないか。
明日から、いい男がうじゃうじゃ私に言い寄ってくるのかもしれない。
いや、待てよ。
しかし、なんといっても遠隔操作である。
実際にお祓いをやってくれたという証拠ってあるだろうか?
しかも、遠隔操作なんてことできるのか?
霊ではないけど、私に付いている霊みたいなものって一体どんな物質?
そもそも、お祓いをやらないと、その日に結婚できないなんて、
前提条件がつくなんて、おかしくないか???
懐疑的に質問を繰り出す私に、この占い師は言い放った。
「あなたは、頭から私の言うことを信じていない。
あなたのような何も信じない人には何を言っても無駄だ。」
そう言って彼は電話を切ってしまった。
そういう決めつけた言い方をされて、
頭にきた私は彼の手紙を破り捨ててしまった。
あれから、10年の月日が過ぎた今も独身のままの私である。
以前は年頃で結婚していく友達がとても羨ましかった。
でも、もしも私が20代で結婚していたら、
30代で経験したようなことは何も経験できなかったに違いない。
それに、今だって毎日ワクワクしながら大好きな会社で働いている。
今まで独身でいたからこそ、こういうご縁に恵まれているのである。
Heaven or Hell...
Sometimes you just can't tell.
So we keep on walking.
('Heaven or Hell' by the Stranglers)
天国なのか地獄なのか、時々わからなくなる。
だから僕たちは歩き続ける。
(ストラングラーズ Heaven or Hell より歌詞一部抜粋。)
(おしまい)