イタリア映画“Ieri, Oggi, Domani”は、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが出てくる、オムニバス・コメディ映画です。このブログも昨日(過去)のこと、今日(現在)のこと、明日(未来)のことを書いていきます。

2008年7月27日日曜日

年に一度の。。。(パート4)

M医師は水を注射器で抜いた後、エコーの画面を見せながら言った。

「ほら、もう何もないでしょう。」

見ると、画面に白く映っていた塊はもうなかった。
M医師によると、悪性の腫瘍の場合、
エコーで見ると、黒く映るものらしい。

膝に水がたまるというのは聞いたことがあるが
胸に水が溜まるなんて聞いたことがない。
本当に変わったことが起きるものである。

「念のため、内容物を検査します。
 一ヶ月後に検査結果を聞きに来てください。」

そして、一ヶ月後に再び病院を訪ねると
M医師は特に問題はないといった。

よくわからないが、
クラス2という段階で、問題のないレベルらしい。
もしもこれがクラス1だったら問題なのだそうだ。
よくわからないのだから質問すればいいものを、
M医師の前では、すっかり借りてきた猫になってしまう私であった。
悪い結果でなかったのだから、ま、いいか。。。

「ほらね、僕が言ったとおりだっただろ?」と、少し得意げに言うGだった。


今後は年に一回、マンモグラフィーを受けることになった。
こうして、一年前に予約を入れられたのである。
それが、奇しくもなぜか今年の七夕なのだった。

喉もと過ぎれば熱さ忘れるというが、
私はすっかりマンモグラフィーの痛さを忘れていた。
胸を挟まれたとき、あまりの痛さに痛すぎて声が出なかった。
検査技師の、痛かったら言ってくださいね、との言葉に、
「いた、いた、いたいです。。。」とかすれるような声でようやく言った。
だが、ぎゅっと挟んだまま緩めてくれる様子がなかった。

「私を殺す気か~~~!!!」(←心の叫び)

マンモグラフィー後、M医師とお会いした。
今回はレントゲン写真に何の影も映っていなかった。
その後、M医師による胸の触診を受け、帰路についた。
次は、また来年の七夕の予定である。

翌日、鏡で胸を見ると、数か所あざが残っていた。
あれは、まさに拷問である。
昔の拷問ってああいうのもあったかもしれない、そう思った。
胸を挟まなくてもいいマンモグラフィーが開発されたらいいな。

(終わり)


"Where have you been tonight?" by Shed Seven

2008年7月24日木曜日

年に一度の。。。(パート3)

上半身裸になるように言われ、ベッドに横たわる。
看護師や例の若い研修医もベッドの周りに控えていて
一瞬恥ずかしく感じるが、もはやそれどころではない。
M医師は計りでしこりの大きさを測定して看護師に記録させる。
その数字を聞きながら、生きた心地がしない私。

「では、エコーで見てみましょう。」

M医師はそう言うと、私の左胸にゼリー状の物体を塗り
エコーのカメラ(?)をその上にあてがった。

その瞬間、

「あー、これは水ですね。」と、M医師。

「え? み、水ですか?」

「Sさん、よかったですね。これは悪いものではないですよ。」

それまで、緊張していた医師の声が一瞬にしてやわらかいものになった。

「じゃ、今から麻酔をかけて、注射器で水をぬきます。」

M医師はそう言うと、胸の下辺りに麻酔注射を打った。
チクリと痛みが走る。
その直後に、注射器を同じ辺りに射して水を抜き取ったようだった。
ようだったというのは、麻酔が効いていたため、
注射針を刺された感覚がなかったのと、
小心者ゆえ眼を開けて一部始終を見届ける勇気がなかったのである。

エコーから、水抜きまで、所要時間、約7~8分。
本当にあっという間の出来事だった。

(続く)


"Speakeasy" by Shed Seven

2008年7月18日金曜日

年に一度の。。。(パート2)

病院に到着すると、
まず、生まれて初めてマンモグラフィーを受けた。
ご存じのない人のために書くと、
マンモグラフィーとは乳腺・乳房専用のレントゲン撮影のことである。
かなり痛いと話には聞いていたが、
その痛さは半端じゃなかった。
まさに飛び上がるような痛さであった。

まず、胸を上から板のようなもので挟んで1枚。
さらに今度は横から挟んで1枚。
こうして左右計4枚のレントゲンを撮るのである。
挟むと云うと生易しく聞こえるが、
実際は、立体的な胸をペチャンコになるまでグイグイと押しつぶすのである。

レントゲン写真が出来上がると
その写真を持たされ、2階の診察室の前で待った。
かなり待たされた後、若い研修医による問診があった。
その後、またしばらく待って
ようやく診察室の内部に招きいれられた。

「今日はどうしました?」と、M医師。

「左胸にしこりのようなものがあるんです。」

医者は封筒の中からレントゲン写真を取り出して一瞥する。

「かなり大きなしこりですね。いつからありますか?」

急に彼の声が深刻なトーンへと変わった。

私は医師の真剣な声に少しびびりながら答える。

「3~4週間前です。」

M医師は口に出しては言わないものの、
これが癌だったら、もう手遅れの大きさなのに違いない。
彼の真剣な声はそのことを暗示しているようだった。

(続く)



"Whatever" by Oasis

2008年7月13日日曜日

年に一度の。。。

少し前のことになりますが、
7月7日はご存じのとおり七夕でした。
織姫と彦星が年に一度会えるっていう
ロマンティックな日です。

かく言う私も愛する彼との逢瀬。。。
と言いたいところですが
会社を休んで向かった先は病院でした。

ええ、

あれは忘れもしない昨年の5月のこと。
朝ベッドの中でまどろみながら
寝返りを打ってうつぶせになった時
左胸に何か異物感を感じたのでした。

あれっ? なんだか胸にしこりがある様な気がする。。。
気のせい、気のせい。。。

そうして、しこりのことを考えまいとして
1か月以上が経ったころ
例のしこりが急に大きくなってきたのでした。
しこりが胸を圧迫して痛みを覚えるようになったのです。

まさか私に限って乳がんになるはずはない、
そう自分に言い聞かせながらも
どんどん不安になっていったのです。
その時、今は亡き父は癌で入院していたし
私までが癌だったらと思うと
途方にくれました。

「私、乳がんかもしれん。」と、
半泣きでGに言うと、
「そんな馬鹿な。君が乳がんのわけないよ。」と
何の根拠もなく言うGでした。
私を安心させようとしてそう言ったのか
本気でそう思ったのかわからないけれど。

私は病院に行くことに決め
インターネットで病院を探したのでした。

そして出てきたのは乳がん治療では府下で一番といわれる病院でした。

(続く)


"Strange Little Girl" by the Stranglers (ちなみに本文とは無関係です。)

2008年7月5日土曜日

さるこじ ふらんす大統領 

あなたは外国の家庭を訪問する。
その家の人があなたを歓迎して
その国の自慢料理を何種類も心をこめて用意してくれている。
その心づくしのご馳走を目の前にして、
あなたは冷酷にも言い放つ。

「僕、オムレツが食べたいんです。
 オムレツを作ってください。」

「・・・・・」

こんな失礼なこと言う人がこの世に居るなんて想像もつきませんよね?
でも、実際に言った人がいるんです。
それは。。。

フランスのサルコジ大統領です。

サルコジ大統領が欧州委員会に出席するため
スロベニアを訪れたときのこと。
開催国のスロべニアは各国首脳をもてなすため
お国自慢の料理を作って晩餐会を開いたとき、
彼は上記のセリフを言ったそうなのです。

(注:上記の逸話は春具(はるえれ)さんといってオランダ、ハーグにある
国連の化学兵器禁止機関(OPCW)勤務されている方が出しておられる
『オランダ・ハーグより』というメールマガジンに書かれておりました。)

また或る時は、農業関係の席に出席した時、
沿道に並んでいた群衆のひとりがサルコジの差し出す握手を拒んで言った。
「俺に触るな、手が汚れる。」
すると、サルコジ大統領はすぐに言い返したのです。

「じゃあ、失せろ、この貧乏人!」

どこの国の大統領でも自国の国民に上記のような
暴言は、思っていても、なかなか吐けませんよね。



イギリスのニュースでは(確かBBC)、
貧乏人ってところが 単にidiot と訳されていましたが
彼が言ったのは、pauvre con なのです。
pauvre とは、“貧乏な”という形容詞で
con は、“馬鹿野郎”という意味です。
こんなことを福田首相が言ったとしたら、大問題になりますよね。
フランス国民は懐が深いというか。。。

極めつけは、昨年のG8サミットのときのこと。
彼はロシアのプーチン大統領と2者会談を行った後
記者会見に応じたのですが、
見るからに酔っ払っていて、
何を話したかという記者からの質問に対し
「極めて重要な話をした」と言いつつ、
内容のないことをぺらぺらしゃべるだけで
結局のところ、2人はただ酒を飲んでただけだってことが露呈したのでした。
ええ、もちろん、フランス国民には会談中は『水』を飲んだと云っております。

記者会見の模様


上記のような、人間的な話題に事欠かないサルコジ大統領を
なんだか、変な意味で、注目してしまう私です。

今回のG8サミットには、奥様のカーラさんは
なにやら、自分のCD発売の準備のために来れないようで少し残念です。
(そんなん、ありか?)

でも、サルコジ大統領にとって、もっと残念なのは
飲み友達(?)のプーチンに会えないことでしょうか???