イタリア映画“Ieri, Oggi, Domani”は、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが出てくる、オムニバス・コメディ映画です。このブログも昨日(過去)のこと、今日(現在)のこと、明日(未来)のことを書いていきます。

2009年9月20日日曜日

夢幻の如し

近頃、歴史ブームらしいですね。
実感しました。



「えええ、何これ~???」
安土城に着いた途端に友人Aがつぶやいた。
「どうしたの?」
「なんで、こんなに車が停まっているの?
 普段は全然車なんて停まってないのに。」
私たちの目前にある安土城前の駐車場には
全国各地のナンバープレートの車がずらりと止まっていた。
「やっぱり、歴史ブームってほんとなんだね。」
Aと私はえらく感心しつつも、
駐車場料金を徴収されたことに怒りながら
安土城に向かったのでした。

門のところで入場料500円を払い、
目の前の長い石段を見上げてたじろぐ私。
石段は400段以上あり、なんと山頂まで40分ほどかかるとのこと。
平地を40分歩くのだって結構な距離なのに
石段を登りつづけなければならないのである。



予想通り、息切れのため数回、途中休憩を提案する私。
一段がとても高くてまさに一段一段を必死で登るのだった。
はぁ、はぁ、はぁ。。。。
「絶対、明日筋肉痛になるね。っていうか、明後日以降かな?」と、A。
ははは、と二人で笑いながらも半分その可能性を否定できなかった。

石段にはところどころ石仏が使われていた。
石不足のため、お地蔵さままで階段に使ったのである。
信長公はきっとばちがあたったのに違いないと思った。



なんと仏足石まで石垣に使われていたらしい。



それにしても、安土山全体が城として造られたのである。
石垣や階段に使われた石の量ははんぱではない。
どこからこんなに石を持ってきたのだろう、
重機のないあの時代、どうやって石垣用の大きな石を
持ってあがったのだろうと思った。
石を持ち上げる装置を考案して使用していたとしても、
急な傾斜のため、動物などを使うことはできず
結局、人力で持ち上げたのにちがいない。

安土城は1567年に築城された。
築城には、現在のお金に換算すると、総工費1000億円ほどかかったそうだ。
まさに大プロジェクトである。
ところが、信長公の死後、安土城は何者かに火をかけられて、
一夜にして消失してしまったそうだ。
完成からわずか3年後のことだった。
築城時には人々の度肝を抜くほどの豪華さだったそうであるが
現在残っているのは、ただただ石垣と遺構のみ。
そのはかなさとあっけなさは信長公の人生とぴったり重なる。
信長公が好んで舞ったという幸若舞『敦盛』の一節をふと思い出した。

人生五十年、
下天のうちをくらぶれば
夢幻の如くなり
ひとたび生を享け
滅せぬもののあるべきか

人生も物もすべては滅ぶ運命にある。
だからこそ、短い人生を一生懸命生きていかなければならないのである。
一陣の突風のように駆け抜けた信長公の人生を想った。

天主跡


本丸からの眺め


安土城天主信長の舘に再現された天主






実は私、20歳の頃、信長公にとても興味を持っていたのです。
彼に関する本を読み漁り、その人生観と生き方に感銘し
少しでも彼のようになりたいと思ったのでした。
無力な自分を少しでも変えたい、信長公に少しでも近づきたい、
そう思っておりました。
だから私が『信長公』と呼ぶのは敬意を表しているのです。

その時から、ずっと安土城跡に行きたいと思っていたのです。
或る日、Aにぼそっと「安土城に行きたい」と言ったのを
彼女が覚えていて、今回連れて行ってくれたのでした。
ホントにAには感謝してます。
ありがとうね、A。
ちなみに、今日すでに筋肉痛がきたよ。ふふふ。。。

現在上映中の映画、『火天の城』は、安土城築城を描いた作品です。
観に行きたくなりました。
皆さんも是非!